Nateの英語学習ブログ

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サクセスストーリーを作らない

語学学習中に必ず出会う「即席量産型サクセスストーリー」についての話。いわゆる「3 か月で TOEIC 300 点アップする英語勉強法」や「偏差値 30 の私が TOEFL 25点上げた方法」といったサクセスストーリーを作らないようにしたい、という願望を語るだけのエントリ。

 

そもそも、サクセスストーリーについては眉唾の態度を取ることが重要である。

 

まず、大宗の成功は一回性の成功である可能性が高い。おおよそサクセスストーリーは、大学受験においても、就職活動においても、一回の成功を雄弁に語っているだけであり、各位は運という大きな要因を過小評価している。私はこのようなケースをじゃんけん列車の先頭にいる人にじゃんけん必勝法を聞くようなものだと考えている。つまり、話を聞くだけ無駄である。

 

次に、成功者は自らの始点を意図的に低く見せようとする傾向がある。「偏差値 30 から現役東大合格」というサクセスストーリーを深堀りすると、実は灘高校の中での英語の偏差値 30 であっただけで、学外での偏差値は 60 以上だったというケースや東大模試(東大を志望する超賢い高校生だけが受ける模試)で偏差値 30 であっただけというケースもある。中学校の試験期間に勉強していない自慢をして 99 点で悔しがるようなタイプの人間がやりそうなことであり、私は個人的にそのようなタイプが嫌いである。

 

最後に、サクセスストーリーの多くはアイキャッチ目的であると考えている。特に、インターネットや書籍で目にするサクセスストーリーは、全てアイキャッチ目的である。もちろんビジネス上は理に適っているので大いにやればいいとも思うが、やりすぎて目にあまることの方が多いと思っている。

 

 

サクセスストーリーを作らないようにする理由については、再現性の面から卑近な例を用いて説明したい。

 

たとえば TOEFL 109 点を取れたとしても、それを何回も繰り返し取れるとは限らない。試験問題は都度異なるし、当日の体調を含めた自分のコンディションや周囲の受験者の質を含めた過剰のコンディションも都度異なるため、同じ TOEFL 109 点でも英語力について同じ土俵で比較することが難しい。また、仮に 5 年前に TOEFL 109 点が一度取れたとしても、今現在その実力があるとも限らない。これはセンター試験で 9 割取ったと自慢していた文系国立大学生も 5 年も経てばセンター試験範囲の問題すらほぼ忘れてしまうという現実が教えてくれる。つまり、Twitter のプロフィールに書いてある資格については、その人がサクセスストーリーを武器にビジネスを行わない限り、それだけでは何も意味を持たないただの文字列である。この事実に気づいていない人が殺到して Twitter のフォロワーは増えるかもしれないが、読者の量ではなく質を気にしている人たちはサクセスストーリーを作らないように気をつけた方がよいのではないかと思っている。

 

しかし、サクセスストーリーを発表することの誘惑も理解できる。だからこそ安易に手を出さず、より高みを目指して頑張っていきたいと思っている。